no9_vc’s diary

日頃の作業をちょっと楽にするテクニックの覚え書き。

iPad miniを家族共用の電子書籍端末として設定してみた話

今回やりたかったこと

  • 自分のアカウントで購入したKindleやhontoの電子書籍を、家族に貸して読ませたい
  • でも、電子書籍以外のアプリやプライベートなデータにはアクセスしてほしくない

この2つを両立させるため、新しく購入したiPad miniを家族共用の電子書籍端末として設定してみました。その手順を紹介します。

作業環境

iPhoneiPad Pro(12.9インチ)を使用中です。どちらも電子書籍アプリを使用中ですが、人に貸すには少々難点があります。

  • iPhone→常時自分が使うので、短時間しか貸し出せない
  • iPad Pro→片手で持てるサイズではなく、気軽に読書するには大き過ぎる&重過ぎる

「今回やりたかったこと」自体は既存の端末でも設定できるんですが、持ち運びのしやすさという観点からもう1台購入することにしました。

新しく購入したもの

iPad mini 第5世代 Wi-Fiモデル 64GB

じゃんぱらの中古で買いました。46,000円也。新品時より1万円くらい安いです。それでも、同じサイズのFireタブレットが1万円を切ることを思えば、電子書籍だけに使うには高いですが…

現行の第6世代が78,800円もするので、さすがにそこまでは予算を積めませんでした。

片手での読書用にストラップも購入。

Amazonの安いタブレットではダメだったの?

KindleだけならAmazonの Fireタブレットで解決できますが、自分がメインに使っているサービスがhontoなので、アプリの追加ができないFireタブレットでは対応できません。

かと言って、他社のAndroidタブレットも決め手に欠ける。

家族もiPhoneiPadユーザーで操作に慣れていること、iCloudで端末を一括管理できる点からも、iPadに軍配が上がりました。

設定手順

初期設定

自分のApple IDでセットアップします。

「使える機能を制限する」という観点では、子供用のApple IDを作って設定する方法も選択肢に入ります。

家族全員がそれぞれ自分の Apple ID を使うよう徹底する - Apple サポート (日本)

しかし、iCloudのファミリー共有を設定している家族の中に実在しない子供を登録するというのは心理的に抵抗があるし、規約上も後々問題になりそうなので止めました。

パスコードロックの設定

通常と同じように設定します。Touch ID対応機種(第6世代ならFace ID)なので、これも必要に応じて設定します。

後述しますが、このパスコードは人に貸している間は使用しません

iPadを外出先で使用する場合は、万が一の紛失に備えて「データを消去」のチェックをオンにしておくのも一手です。

電子書籍アプリのインストール

Kindleとhontoアプリをインストールし、外出先でも読みたい本は予めiPad内にダウンロードしておきます。

hontoはライブラリの中から任意の本を選んでマイリストを作成できるので、おすすめの本やシリーズ別などにまとめておくと探しやすくなるでしょう。

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注意すべき点として、(自分のアカウントでログインしているので当然ですが)iPadを貸した相手はマイリスト以外の本も全て開くことができます。なので、人に見せたくない本は別のアプリで買いましょう(笑)

アカウントの共有はしない

Apple IDと同様、電子書籍サービスにおいても「家族のiPadに自分のアカウントでログインして読ませる」という方法はNGです。

各サービスの規約に抵触するのはもちろんですが、それぞれ別にアカウントを持っていますし、都度ログアウト→ログインとダウンロードを繰り返すというのはあまりにも非効率的です。

家族に貸すための設定

アクセスガイドを設定する

アクセスガイドという機能を利用することで、一時的に1つのアプリしか利用できない状態に設定できます。

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  1. iPadの設定から アクセシビリティ>一般>アクセスガイド の順に進む
  2. 「アクセスガイド」のチェックをオン
  3. アクセスガイド用のパスコードを設定(ロック解除用とは別のものを設定できます)、もしくは「Touch ID」のチェックをオン
  4. 「時間制限」以下の項目はお好みで。制限時間が経過したらサウンドを鳴らしたり、残り時間を音声で読み上げるといった設定ができます

アクセスガイドの開始と終了

任意のアプリ(ここではKindleやhonto)の起動中にホームボタンをトリプルクリックすると、アクセスガイドが開始されます。アクセスガイド実行中は、ホームボタンをクリックしてもホーム画面に戻れなくなっています

アクセスガイドを終了するには、もう一度トリプルクリックし、アクセスガイド用のパスワードを入力(もしくはTouch ID)します。

アクセスガイド実行中にスリープした場合、ホームボタンを押すと即座に元の画面に戻りますが、アクセスガイドは有効なままです。つまり、アクセスガイドを実行した状態でiPadを貸すのであれば、ロック解除のパスコードを教える必要がないということです。

他の方法

ホームボタンがない機種では、トップボタンやFace IDを使用します。以下はAppleのヘルプ。

iPadでアクセスガイドを使用する - Apple サポート (日本)

アクセスガイドはコントロールセンターの中にも配置できます。

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アクセスガイド実行中に無効になる機能
  • ホームボタンをシングルクリックしてもホーム画面に戻らない
  • ホームボタンをダブルクリックしてもアプリの切り替えができない
  • 上下にスワイプしても通知センター・コントロールセンターが開かない
  • 通知が無効になる(スリープから復帰してもロック画面に通知が表示されない)

このように他のアプリや通知を無効にできるため、人に貸していてもプライバシーが確保できます。通知は「集中モード」でもオフにできますが、その上位互換と言えるかもしれません。

この機能を自分用に設定すれば、何かと誘惑の多いiPadでも読書だけに集中することができるので、勉強用のテキストを読むときにも重宝します。

実際、iPadを使った勉強方法の動画を多数投稿されているYouTuber・YMKさんの著書でも、アクセスガイドが活用されています。

iPadで絶対に忘れない最高の勉強法 | YMK |本 | 通販 | Amazon

著書の元になった動画でも解説されており、参考にさせていただきました。

iPad勉強中の誘惑を断ち切るオススメ設定3選【意志力0でOK】 - YouTube

アクセスガイドのオプションを設定する

アクセスガイド終了時の「オプション」から、様々な機能のオン/オフを切り替えられます。例えば、スリープボタンやボリュームボタンの無効化。

時間を決めて過ぎを予防したいという場合は、以下のような機能が便利です。

  • 画面の自動ロック…設定画面から。通常時とは異なる時間を設定できます。
  • 制限時間…設定した時間が経過すると、パスコード(Touch ID)を入力して「再開」するまで操作を受け付けなくなります。

iPadを貸すときの運用

iPadを普段どれくらい使っているかによって、大きく2つのパターンに分かれそうです。

①「普段は自分で使うので、読みたいときは貸すよ」というパターン

家族にiPadを貸すときは、アクセスガイドを実行した状態で渡します。

先述したとおり、アクセスガイド実行中のスリープ解除はパスコード不要なので、長時間貸す場合でもロック解除操作を代行してやる必要はありません。

パスコード設定の項で「データ消去」をオンにしている場合、特に小さい子供がいる家庭ではiPadを勝手に触らないように決めておく必要があるでしょう。ロック中のiPadを勝手に触って読書しようとする→パスコードを10回間違える→データ消去という事態にならないように…

②「置いておくので、好きなときに使っていいよ」というパターン

前項とは逆に、普段はアクセスガイドを実行した状態でロックしておき、自分で使う時はアクセスガイドを終了します。使い終わったら再びアクセスガイドを実行します。

借りる側から見れば自由に使えて便利な半面、iPadが自分の手を離れて無防備になり、使い過ぎの懸念も増します。「無断で家の外に持ち出さない」「1日○時間まで(制限時間の設定)」などのルール作りは必要でしょう。

制約事項

アクセスガイド実行中は1つのアプリしか操作できません。従って、Kindleとhontoを切り替えるためには一旦アクセスガイドを終了する必要があります。

また、読んだ位置やブックマーク、マーカーなどは最後に使ったときの状態で保存されます。このあたりはアプリ側で制限できないので、必要に応じて「返すときに元に戻す」などのルールを決めておくといいでしょう。

余談:Apple Booksの場合

iCloudのファミリー共有を有効にしていれば、Apple Booksで購入した電子書籍を家族全員がダウンロードできるようです。

家族が購入した App やコンテンツをダウンロードする方法 - Apple サポート (日本)

全く買わないので、ヨドバシの店員さんに相談するまで知らなかった…

ただし、非表示にしない限り全てのコンテンツが共有されるらしく(実践していないので推定形です)、特定の本だけピックアップしたいという用途には向かないようです。

おわりに

iPad電子書籍専用にするようなタイトルで書き始めましたが、普段は別の用途に使っていても貸すときにアクセスガイドを設定すれば大丈夫という結論になりました。

読書にちょうどいいサイズなiPad miniの長所を活かし、家族みんなで読書を楽しみましょう。

 

Kindleにしろhontoにしろ、家族や友人のアカウント間で本を貸し借りする機能があればいいんですが。購入した本の閲覧権限を一時的に与える(その間だけ貸主は読めなくなる)→一定期間経過で返却のような。

あいにく、そういった機能が実装される気配も噂もないので、家族間での貸し借りには今回紹介した方法が役に立てば幸いです。